今までの俳句
令和8年度

季節によせて Vol.748   令和8年6月20日 
降り出しの雨は大粒夏来る     晶 

 春先から雨の日が増え、一雨ごとに夏が近づいて来ると感じる。それは雨の降り方についても言えることで、音立てて俄かに大粒の雨が降り出すことも珍しくない。災害が出ないようほどほどの降り方でとどまってくれることを願うばかりである。

・夕風に土の匂ひや夏来る(吉田茂子)

路地に子がにはかに増えて夏は来ぬ(菖蒲あや)


季節によせて Vol.747   令和8年6月13日 
白波のたたみかけくる立夏かな     晶 

 今年の立夏は5月5日、子供の日にあたる。4月半ばからすでに初夏の陽気のところもあり気象庁は夏の暑さを表す言葉に40度越えの日を酷暑と呼ぶことにしたという。やりきれない真夏のことはさておき、清々しい季節を存分に楽しみたいと思う。

・竹筒に山の花挿す立夏かな (神尾久美子)

・夏に入る硝子のペンで書く手紙 (山田佳乃)


季節によせて Vol.746   令和8年6月6日 
囀や光まろばせ万華鏡     晶 

 春は鳥たちも繁殖期に中り、雄は美しい声で鳴いて雌にアピールする.その鳴き声が囀。鶯のホーホケキョやカラの仲間のツツピーも囀り。色鳥(秋)のように目に見えるように姿を詠むことが本意の季語に対し春の鳥の場合はその声に春らしさを感じるので百千鳥などの季語も耳で捉える季語と言われる。

・百千鳥森の扉を全開に (山崎千枝子)


季節によせて Vol.745   令和8年5月30日 
飯蛸の飯詰まりたる胴の張り     晶 

 春、卵を持った雌の蛸を煮ると体内に飯粒が詰まっているように見えることからこの名がついたと物の本には書いてある。捕まらなかったらこれが全部蛸になるのにと思ったりもしたがやはり美味しい。蛸を煮ると紅色になるので蛸の桜煮とも言う。里芋などとの煮付けがこの季節は喜ばれる。

 ・なにか侘し飯蛸の飯とぼしきも (上村占魚)

 ・舟べりへ逃げし飯蛸引きはがす (星野恒彦)


季節によせて Vol.744   令和8年5月23日 
転がして抱へて貝を選る寄居虫     晶 

 寄居虫と書いてやどかりと読む。がうなとルビを振られていることもあるがどちらにしても当て字としか思えない。身体が成長すると他の大きな貝殻を求めて移り棲むのでこの名があるようだ。

・寄居虫の又顔出して歩きけり (阿部みどり女)

・やどかりのころりと落ちし汐溜 (藺草慶子)


季節によせて Vol.743   令和8年5月16日 
その奥の闇の静けさ花吹雪     晶 

 開花が早かった分その終焉もあっけないものだった。コロナ感染症の真っただ中に入学した子たちはこの春小学校を卒業、中学の入学式は葉桜のもと。満開の桜の下でという光景はそのうち昔話になるかもしれない。

 ・空をゆく一かたまりの花吹雪 (高野素中)

 ・一本のすでにはげしき花吹雪 (片山由美子)

 ・しあはせに目のあけられず花吹雪 (鷹羽狩行)


季節によせて Vol.742   令和8年5月9日 
水あれば人の住まひて山桜     晶 
 一昔前に比べると天気がずいぶん変化している。たとえば、この冬、豪雪地帯はより多く雪が降り太平洋側は渇水状態で一時はダムの水が0パーセントに近づいたところもあった。県知事が田植を暫く見送ってといい農家の方をはらはらさせた。人が生きていくうえで水がどれだけ大切なものであるかということが身に沁みた。蛇口をひねれば出る水も保水力のある山があってこそ。自然を大切にしないとしっぺ返しをくらいそうだ。

季節によせて Vol.741   令和8年5月2日 
日の暈をかうぶり枝垂桜かな     晶 
 太陽の周りに白い暈がかぶっていることがある。春先に見られることが多い。白や虹色の輪のことを「ㇵロ」というそうで天気が下り坂のサインともいわれる。月にかかることもあって朧月などと呼ばれる。枝垂れ桜も遠目に見ると輪郭が薄れてひとまわり大きく見えることも。これも春の空気のせいかもしれない。

季節によせて Vol.740   令和8年4月25日 
魞挿しに舟より長き竹積みて     晶 
 魚の通りそうなところに何本かの青竹を迷路のように刺して外側から魞簀を張って魚を捕る漁法において、青竹を突き刺す作業を魞挿すという。その材料の青竹が舟をはみ出すほどの長さに驚いた。潮の干満、海底の地盤などにもよるだろうが手さぐりの作業は長年の感と経験によるところが大きいだろう。日差しは暖かくても風が出ればまだ寒い海の上の作業に頭が下がる。

季節によせて Vol.739   令和8年4月18日 
近くより沖の眩しき菜の花忌     晶 
 日差しをうけてきらきらする海の様子は一年を通してのことではあるが、春は格別美しく感じる。菜の花忌とは小説家司馬遼太郎の忌日。竜馬がゆく』『国盗り物語』『菜の花の沖』『坂の上の雲』『街道をゆく多くの人に親しまれスケールの大きな作品は読むたびにワクワクさせられた。地図を傍らに街道をゆくを読み直したいとおもっている。

季節によせて Vol.738   令和8年4月11日 
朝からの風をさまりて初音かな     晶 

 目と鼻の先に里山がある、というより里山の麓に開けた住宅地に住まわせてもらっているといった方が良いかもしれない。熊にこそ会わないが猿や雉、鹿や猪は珍しくない。そんな場所なので鶯もチャッチャっという地鳴きやホーホケキョ、谷渡りと季節によって変わる鳴き声を聞かせてくれるが、畑を電気柵で囲っているのを見ると人と鳥、動物の間合いの取り方の難しさを実感する。



季節によせて Vol.737   令和8年4月4日 
日の暈をかうぶり枝垂桜かな     晶 

 太陽の周りに白い暈がかぶっていることがある。春先に見られることが多い。白や虹色の輪のことを「ㇵロ」というそうで天気が下り坂のサインともいわれる。月にかかることもあって朧月などと呼ばれる。枝垂れ桜も遠目に見ると輪郭が薄れてひとまわり大きく見えることも。これも春の空気のせいかもしれない。




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